YUI -ユイ- シーズン3

phoenix-zero
自作ラノベの最終章です。よろしくお願いします。

photo-credit: syui

YUI -ユイ-



s3:シーズン3






01:復活
02:日常
03:姉妹
04:問題児ユイ
05:放課後
06:やるべきこと
07:力
08:決断
09:終わりのリンク
10:いつか還る場所
11:不死鳥
12:あの日の出来事
13:青の瞳
おまけ4:プロフィール3



01:復活



ユウキに頷くユイ。一瞬だけ、ユイの体が赤く光った。どうやら、ユウキは気づかずに行ってしまったようだ。

その後、ユイは、自らの力によって、アイテムの効果である10秒ルールを破り、現世に舞い降りる。

しかし、この世に戻ったのはいいが、ユイには以前のような魔力が失われていた。

その理由は、10秒ルールを破るのに相当な魔力を使ったのと、アリスの件が大きく関係していた。

とりあえず、寝るところを探さないと、とユイは考えた。

その時、ユイに魔法の遺言が届いた。魔法の遺言とは、その名の通り、誰かが死んだ時、その者の意思をできるだけ現世の社会に反映するためのものであり、例えば、遺言者に名指しされた者は、遺言者の財産や権利などを譲り受けることができる。魔法の一種なので、メッセージが自動で名指しされた者に届けられ、自動で社会的効力を持つことができる。

ただし、名指しされた者は、放棄といって、遺言を受け入れるか、受け入れないか決めることができた。

ユイは、一体誰が身寄りもなく、存在も知られていない私に、遺言なんて送りつけたのだろうかと不思議に思った。

遺言は、ユウジという人物からの者だった。

この人物には、魔法都市で何度か会ったことがあり、レベル6の魔法使いだった。

遺言の内容は、おおよそ自分の財産をユイに譲り渡すというものだった。もちろん、ユウジの家もだ。

ここで、ユイは、ユウジの魔力を探ってみたが、見つからなかった。ユウジは、逝ってしまったのだろうか。ユイはそう思った。

ユイは、ユウジとは、特に繋がりはなかったので、何も感じなかったが、遺言には感謝した。これで、住む場所を確保できそうだと思ったからだ。

でも、なぜ、ユウジは、私に遺言を残したのだろう...。その疑問だけは消えなかった。


02:日常



数ヶ月が経ち、ユイは明日から学校に通うことにした。なぜ、数ヶ月待ったのかというと、転校生として紹介されたくなかったからだ。

明日は、春休みも終わって、新学年のスタートという時期だった。桜が綺麗だ。

翌朝、ユイは、ベッドから起き上がって、学校に通った。

ユイは、桜小学校の6年生として学校に通うことになった。

実は、ユイは、桜小学校の2年生として、以前学校に通っていた、というよりも学校に住んでいた。

ユイは、魔法都市に助けだされて以降、学校に登録されたのだが、特別教室というユイだけの部屋を用意され、その教室に住んでいたという経緯がある。教室は、隠し扉を通っての地下に設置された。

この時は、2年生から一向に学年が上がることはなかったのだが、新世界では、学年が上がるらしい。

実年齢も考慮され、桜小学校の6年生として学校に通うことになったのだ。これは、アリスとユウキと同じ学年であり、ユイは、そのことが嬉しかった。

ちなみに、ユイは、以前は強力すぎる魔力故に歳をとらなかった。つまり、見た目は、まるで7歳児だった。ユイの魔力が覚醒したのもこの歳だ。

学校に到着し、教室に入るユイ。朝早く登校していた少数の生徒が、一斉にユイを見た。何だあの子は?ということらしい。

どうやら、ユイの席は、窓際の一番前の席だった。

早くアリスとユウキは来ないかなーと考え事をしているうちに、ユイは、眠ってしまっていた。

起きたのは、先生が到着した時だ。どうやら、あの特別教室という真っ暗な部屋に住んで以来、ユイは、眠りっ子になってしまったようだ。

先生は、自己紹介をするように話して、前から順に自己紹介させられるらしい。このまま行くと私が最初だ。ユイは、緊張していた。

「では、ユイさんからどうぞ」と先生が言った。

ユイは、席から立ち上がり、「月詠 唯 (つくよみ ゆい) です。よろしくお願いします」と小さな声で言った。

「ガタッ」と後ろのほうで席を揺らす音がした。推測するに、アリスとユウキは、自分に気づいたらしい。

ユイ自身も、アリスとユウキは、知っている人物なので、学校が始まるに際して、少し心強かった。


03:姉妹



しかし、ユイにとっては、ある問題もあった。

ユイは、旧世界において、世界改変の設計図を作成するため、現世の情報たくさん集めていた。そんな時、自分の母親の情報を突き止めたのだ。

それは、アリスとユイが姉妹だということだった。

ユイの母親は、数年前に戦死している。しかし、母親は、戦死する前に、複数の男性との交際、結果として、複数の子供が存在していた。

現在、その子供のほとんどが死んでしまっていたが、私以外にも生き残りの子供がいたようだ。

それは、他でもないアリスだった。アリスは、父親は違うものの、母親は同じであり、姉妹だったことが分かった。年齢順に言うと私が姉でアリスが妹だ。

ただし、ユイはあまりに強力な魔力のせいで、歳をとらなかったので、実際の関係上、どうなるのかは微妙なところだ。よって、アリスには、自分たちが姉妹であることも含め、やはり内緒にしておくべきだろう、ユイはそう思った。


04:問題児ユイ



私の学校手続きを進めてくれたのは、旧魔法都市のレベル6の一人だった。

現在も魔力レベル7の存在というのは、レベル6しか知らない極秘事項であった。

よって、ユイの担任の先生にもそのことは知らされていなかった。

そのようなこともあり、授業に全く関係のない本を持ってきて、読んだりするユイは、クラスでは問題児だった。

ユイのクラスでの態度は、はじめこそ非常に明るく社交的に見えたが、時間が立つに連れ、ユイの本性がクラス中で明らかになっていった。

具体的には、ユイの本性は、暗くて引っ込み思案というものだった。

しかし、ユイは、初対面の人物には、よく話しかけ、とても明るい印象を与えていただけに、時間が立つに連れ明らかになるユイの本性には、生徒や担任のショックが大きかったようだ。


05:放課後



それでも、アリスとユウキは、ユイと仲良くしてくれた。

アリス、ユウキ、ユイは、休み時間に喋ったり、放課後に遊んだりした。

そんなこともあり、ユイは、今までになく楽しい日々を過ごした。

アリスは、真っ直ぐで大胆な子だった。一途で一直線、時に熱く激しい一面も見せた。ユイとは真逆のタイプだ。

ユウキは、心優しい子だった。色々な友達に配慮し、気を配ることができる子だと思った。

そして、ユイは、一見して子供っぽくて、かわいい女の子。しかし、心の深い部分では冷静で、かつ冷酷な部分があった。

この日は、アリスとユウキは、ユイの家に遊びに来た。ユイの部屋には、机の上にサボテンがぽつんと置いてある。

「これ、あの時のやつ?」とアリスが聞いた。

「んーん、違うの。似たものを選んで、お店で買ったものなんだ。あれは、あの時なくなっちゃったから」とユイが言った。

「でも、悲しくないよ。幸せは、歩いてこないから、歩いて行くんだよ」とユイが嬉しそうに言った。

ユイは、よくこの言葉を繰り返すけど、なんでだろう、とアリスはそう思った。

その時、ユイは、こんな楽しい日常がいつまでも続くといいなと思った。

次に、ユウキが聞いてきた。

「あの写真、ユウジじゃないのか?」

そうだ、この家は、実はユウジのものを譲り受けたのだった。よって、ユウジの写真があってもおかしくはないし、ユイは、掃除や整理が苦手で、ほとんど譲り受けたその時の状態のままだったのだ。

「ユウキは、ユウジを知ってるの?」とユイは聞いた。

「ああ、そもそもあの時、俺にユイを呼び出せと言ったのは、ユウジだ。今どうしているんだろう」ユウキは、そう言った。

その瞬間、ユイは、ここに戻ってきた理由を思い出した。


06:やるべきこと



ユイがここに戻ってきた理由は、ただひとつだった。

自分が作った世界のルールが許せなかったからだった。

具体的には、世界憲法96条が認められなかった。

自分が作っておいてなんだが、個人の思想信条に干渉し、特別な思想を持つものを特別フィールドと呼ばれる戦場に人間を強制転送するシステムの行末(いくすえ)を憂いていた。

個人の思想信条は自由であるべきだ。例えそれがどんなものでも。とユイは考えていた。

それを作り変えるためのユイはここに来たのだった。

しかし、そのことを楽しい日々に浮かされて、今まで忘れてしまっていた。

ユイは、自分が残したクリエイターの永続魔法の一部を破ることを決心した。

これらがある限り、人は反省もしなければ、進歩することもないように思えた。

しかし、この永続魔法を破るには強力な魔力が必要で、今のユイではとても破れない。

よって、ユイは、自分の力を取り戻すことからはじめようとユイは思った。


07:力



その日からユイは、魔力を取り戻すために様々な取り組みを行った。

具体的には、ダンジョンに行ってみたり、ボスと戦ってみたりもした。機力が魔力に影響を及ぼすことはないかと考えたからだ。しかし、ユイは、機力自体はあまり高くなく、ボスには相当の苦戦をしてしまった。

また、放課後にいろいろな場所に赴き、調べ物をしたり、人に訪ねたりを繰り返した。

しかし、一向に、以前の自分の魔力を取り戻す方法が分からなかった。

この時、ユイは、なぜかわからないが、自分にサボテンをくれた老人にまた会いたくなっていた。

彼は、今どこに居て、何をしているのだろうか...。


08:決断



ユイは、散々、どうすべきか悩んだ末に、アリスとユウキの力を分けてもらうしかないという結論にたどり着く。

力を分けてもらうことを、ここでは、融合という。

しかし、融合すれば、二人は、この世界にはもう戻ってこれなくなる。

よって、この方法は、本人が望む形でしかありえない。ユイは、すべての真実を2人に話し、判断を任せることにした。あくまで、自分の意志で、自分が納得する答えを出してほしいとユイは考えた。

そして、ある日、ユイは、二人に真実を話した。強制転送ルールにより、日々どれだけの人間が悲惨な環境に追いやられ、死んでいるかということを話した。

ユイは、強制転送ルールがある限り、一般人が住む世界にも反省する人はいなくなると考えいた。

そもそも生まれた時は皆純粋なのだ。彼らを染めていくのは、あくまで環境であり、世界なのだ。

故に、どのように生まれたかではなく、どのように育ったかが重要なのだ。

したがって、人間は、何故そのような危険思想を持った者が生み出されたのかを考え、時には反省しなければならない。そのような者を生み出してしまったことへの反省もなければ、考えることもしなければ、それは真の平和ではないとユイは訴える。

そのために二人の力が必要だと、ユイは二人に言った。

ここまで説明すると、ユウキの決心が決まるのを感じ取れた。

それと同時に、アリスは、ユウキを信じ、一人で行かせるなんてことはしないだろうと予測していた。

すべて、ユイの予測通りになった。

ユイには、ここに来た目的があり、夢があるのだ。ユイは、友達がいなくなるというのに、あまり悲しいとは思わなかった。むしろ、自分の友人が少し誇らしかった。私って、薄情な子なのかな。そうかもしれないな...。ユイはそう思った。

最後に、ユイは言った。「二人は、死んでしまうんだよ、それでもいいの?」と。

ユウキは、「俺はもともとあんたが作ってくれた夢だから」と言い、アリスは、「私も本当は死んでたんだから」と言った。

ただし、残酷なのは、ユイとの融合は必ずしも成功するというものではないということだ。

二人は、ユイが作り出した最後の地にたどり着かなければ融合は成功しないのだ。辿り着けなければ、融合もできず、ただ無意味に消えるだけだ。

二人が最後の地にたどり着く事ができるかはユイにもわからなかった。ここは、二人の力を信じるしかなかった。


09:終わりのリンク



二人は、手をつないで、ユイが創りだした空間の中に入っていく。

目を開けた時には、真っ白で真っ暗な世界が広がっていた。地面には雪が積もっている。空は暗く、青い光が星みたいにキラキラと輝いている。そして、地面と天井以外の空間は、舞い落ちる白い雪で埋め尽くされていた。ヒラヒラと舞い落ちる雪は、三角のガラスの破片みたいだったが、痛くなかった。どちらの方向へ行くのかは分からなかったが、二人はまっすぐに歩き続けることにした。

手をつなぎながら、歩き続ける二人。一体どれだけの時間が過ぎたのだろうか。それでも歩き続ける。

どれだけの日が過ぎただろう。痛みすら感じなくなってきた。視界が歪む...。

侵食する絶望に心が殺されそうになる。しかし、アリスが居てくれる。それだけで心が救われた。

そんな折、アリスが倒れてしまう。必死にアリスを抱きとめるユウキ。「大丈夫か?」とユウキが聞いた。アリスが「うん」と返事をする。

そして、突然ユウキが言った。「すまなかった。こんな思いを君に...」ユウキはうっすら目に涙を浮かべている。

しかし、アリスは、「いいんだよ。自分で決めたことだから」と言った。

もう歩けそうにないアリスを背負いユウキは、歩き続けることにした。あと少し...もうちょっと...。

もうダメかと思った時、目の前に何か輝くものが浮かんでいるのが見えた。

たどり着くんだ!絶対に!ユウキはそんな気持ちだった。

ちょっと上に坂道になっている丘のような部分を息を切らしながら登るユウキ。

やっと辿り着いたみたいだ。目の前には光の球体が輝いている。そして、周りを見渡すと、この世界のすべてが見えるようだった。雪のようなものだけが降り注いでいる何にもない静かで丸い世界だった。

いつの間にか、目を覚ましていたアリス。「夢を見ていたの」とアリスは言った。

「とてもいい夢だった」とアリスは続ける。

ユウキは、なんて返事をすればいいのか、分からなかった。

「最後は、手をつないで行きたいな」とアリスがつぶやく。

「分かった。自分で立てるか?」とユウキが聞いた。

「うん。立てなくても、立つんだよ」とアリスが返事をした。

次の瞬間、ふわっとアリスが地面に着地した。まるで、天使の羽でも生えているようだとユウキは思った。

驚いたように、でもにっこりするユウキ。アリスも自然とユウキに微笑んでいた。

最後、二人は、手をつないで光の中へと歩いていく。二人の表情は、悲しそうではなく、ちょっとうれしそうに、にこやかだった。

どうやら、最後の場所に二人は辿り着いたようだ。ユイは、魔力が戻ったのを感じた。

二人は、行ってしまった。ユイは目を覚まし、涙が流れ、地面にこぼれ落ちる。その瞬間、すべての空間にヒビが入った。


10:いつか還る場所



ユイにとっては、犠牲になる者を救いたいとか、すべての人にやり直しの機会を与えたいとかいう理由は、あまり重要なものではなかった。

結局のところ、ユイは、単に自分が許せなかっただけなのだ。自分が作り出してしまったルールに納得できなかった。他人を救いたいと言っているが、実は、自分が救われたかっただけなのだ。そのことに、今気づいた。そして、大切な友人を犠牲にしてしまった。私は、強制転送される者と何ら変わらないのかもしれない。

しかし、仕事は最後までやり遂げないと。ユイは、そう思って、涙を拭った。

今一度、ユイは、目を閉じ、夢の世界に飛び込んだ。

そこは、今立っていた場所と同じような光景が広がっていた。周りを見渡し、ここでは、現実と夢との区別が全くつかなかった。しかし、ここには、創造魔法を実行した時の設計図本体があるはずだ。具体的には、今の世界に存在する法則やルールの元となるものが存在する。それを探しだして、破壊しないと。ユイはそう思った。

その時、空の上で異変を感じた。上を見上げると、雲がグングンと渦巻いて、雲の合間(あいま)から光が差し込んでいた。空が開いているような感じだった。

そして、そこには、微弱ながら魔力を感じた。どうやら、あそこに行けってことなのだろうとユイは思った。

ふっと地面から浮き上がるユイ。スーッと光の道を辿って、雲の上まで上がっていく。

すると、周りの風景が一変した。

そこは、まるで戦場のようで、瓦礫に埋もれた場所だった。覚えがある。

ここは、ユイが魔法都市に助けだされる前に住んでいた場所だった。ユイは、紛争地の孤児として、この場所で生きてきた。そして、ここで不思議な老人に会い、サボテンを手渡される。

何かの気配を感じ、振り向くと、そこには、あの日にあった老人が立っていた。

「あ、あなたは!?」ユイは、驚いて声を上げた。

「君とはまた会えると思っておったよ」彼はそうつぶやいた。

「たった今、キミが来るのが分かって、キミとの対面にふさわしい場所を用意して待っておったところじゃ」彼は続ける。

「な、なぜ、あなたがここに?」ユイは、彼に尋ねた。

「分かっておると思うが?」彼からは予想外の言葉が飛び出した。

「まさか!あなたが!!」ユイは言った。

「そう、特定の危険思想をもつものを強制転送するルールを作ったのは、私だ。キミの力を拝借しての」彼が言った。

「キミに渡したサボテン、あれには古くから存在する古代魔法が施してあっての。現代の魔法使いたちでは、とても発見できなかったことじゃろうと思う」彼は言った。

ユイは、頭が真っ白になった気がした。不思議な人物だとは思っていたが、まさか魔法使いだったとは思っていなかったのだ。

「あのサボテンは、普段は何もない普通のサボテンなのじゃが、1回だけ持ち主をコントロールできる魔法が発動するようになっておる。そして、その魔法が発動するタイミングは、持ち主の感情が最も高ぶった時なのじゃ」彼は説明を続ける。

「私は、キミをずっと探し続けておった。理想世界を実現する力を持った者を。そして、見つけた」

「キミが創造魔法を発動する直前、君の感情が最も高まり、私がサボテンにかけた操作魔法が発動した。その結果、キミの理想世界にわしの考えをちょっとだけ付け加えた世界が創造されることになった」と彼が言った。

強制転送ルールを作ったのはユイではなく、この老人が意図して創りだしたものらしい。

「なぜ、そんなことを?」ユイは聞いた。

「キミのやり方では、世界平和を実現することはできないと考えたからじゃ」彼は淡々と応える。

「では、もうキミに言うことはない。そろそろ終わりにしようかの」彼が言った。

その直後、ものすごい炎が周りを包み込む。ユイは、完全に炎に包囲されていた。


11:不死鳥



まるで世界をひっくり返したような大規模な戦いが繰り広げられた。

ユイは、相手の攻撃を防ぐのに精一杯で、逃げまわるように、相手の猛攻を何とか防いでいた。

彼のレベルは魔力で言うと一体どれくらいなのだろうか。ユイには、レベル7以上のように思えた。

しかし、もし彼が私を上回る力を持っているなら、そもそも自分自身で理想世界を作ったはずだ。よって、私のほうが力は上のはずなのに、どうして勝てない?ユイは、そう思った。

そう、彼は今まで見て来きた魔法戦闘とは全く異なる戦闘を行った。どうやら、これが古代魔法というものらしい。魔力そのものは弱くても、戦闘力は圧倒的に高い。

長引く激闘の末、ユイは、限界パワーを発揮した。アリスとユウキの二人の顔を思い出したのだ。時間停止、物質の広範囲消滅の魔法を同時に使って、彼を倒した。

彼は、地面に倒れこんだ。そして、あろうことか、ニッコリと微笑み、「...よく...やった...」とつぶやいた。

次の瞬間、彼は身にまとっていた服を残し、消えていた。

その瞬間、周りの景色は一瞬にして、光りに包まれ、まるで雲の中にいるように、空が開けた。残った服が遥か遠くに飛ばされていく。それと同時に、地面や何から何まで、吹き飛んでいくような感じだった。


12:あの日の出来事



「ズキッ」ユイは頭が突然、痛むのを感じた。すると、周りの風景が組み立てられていくのを感じ、瞬きした瞬間、私が過去に居た暗い部屋に来ていた。何となく、自分が映像の中に入り込んだような感じだった。

これは、どうやら世界創造を行ったその日のもののようだ。

「もう少し...あとちょっと...」目の前のユイはそうつぶやいていた。

この場面は、はっきりと覚えている。これは、眠っている時の私の心のなかの出来事だった。

一人、真っ暗闇の中、作業をすすめるユイ。その当時のユイは、「長かった...」そう思っていた。

しかし、後ちょっとというところで、現実の世界の私の部屋の扉が開き、同時に、発砲と魔法攻撃が開始された。

ユイは、攻撃無効化の魔法を使った。これで、外の人達は自分には手出しができない。

しかし、これで予備の魔力を使ってしまった。実は、これから創造魔法を実行するため、魔力の予約はいっぱいで、ほとんど残っていなかったのだ。

そんな時、アリスが扉を開けて入ってきた。

「ダメッ!!」ユイは心のなかでそうつぶやいた。

次の瞬間、数秒の間をおいて、銃弾に倒れるアリス。まるで、時間が止まったように感覚がスローになった。

ここでユイは、あらゆる魔法を試し、アリスを救おうとする。

しかし、すべてがError(エラー)だった。

「時間停止!!」
...Error

「身体凍結!!」
...Error

「身体治癒!!」
...Error

「身体再生!!」
...Error

全てうまくいかない。「私の...力が...足りない...」ユイはそうつぶやき、絶望した。

アリスを助ける方法が思いつかない。そのうちにも、アリスの存在エネルギーがゼロに近づいていくのが分かる。

そして、現実の自分の目から何かがこぼれ落ちるのを感じた。「こ、これは...」ユイはそう思い、目を開けた。「泣いているの...私...」

その瞬間、自分の中に何かが入ってくる。そして、何故だか分からないがユイの魔力が補充されていた。

「...力が...戻った...」ユイはつぶやく。これでアリスを助けられる。

その時のユイは、瞳の色が黒から青へと一瞬だけ変化した。その目は、どこまでも青くて吸い込まれそうな目だった。まるで、先ほど戦った彼(不思議な老人)の目のようだ...。

そうだったのか。彼が、アリスを助けるための最後の力を与えてくれたんだ...。ユイはそう思った。

過去のユイは素早く現実のアリスと夢のアリスを切り離す魔法を使う。同時に、アリスだけに時間停止魔法を使った。この時、アリスの存在エネルギーは、限りなくゼロになっていた。いや、ゼロだったかもしれないが、ユイの魔法のおかげで、なんとかアリスは生きていた。

しかし、僅かな心残りは、創造魔法前に現実のアリスと夢のアリスを切り離したため、最後の日のアリスの記憶は保存されなかったことだった。

創造魔法を使えば、私は魔力を使い果たし、消えてしまう。しかし、私の中にアリスが居る。生きている。だから、まだ希望はある。ユイはそう思った。

ユイの頬を伝い、涙が手に持っているサボテンにこぼれ落ちる。

...。

いつの間にか、周りの景色はもとに戻っていた。

ここは、まるで雲の中にいるように、空が開けたとても美しい場所だった。

そして、最後に、ポツンと一人残ったユイは「ありがとう」そうつぶやいたのだった。


13:青の瞳



その時、ユイの中に、あの時と同じように何かが入ってくるのを感じた。

すると、ユイに今までにないような、何処か懐かしく、不思議な感じがする力が宿っていた。同時に、ユイの瞳は、青色に変化していた。

ユイは、当たり前のように、ある魔法を使った。以前の自分では、使えなかったであろう魔法だ。

「融合解除!!」

すると、大きくて丸い光の玉のようなものが現れ、その中から、アリスとユウキが手をつなぎながら出てきた。

それからというもの特別フィールドに転送される者はいなくなった。

数カ月後、学校を見上げるユイ。

下に視線を落とすと、アリスとユウキが校門のところで、手を振りながら立っていた。私は、走るように二人に駆け寄った。

ユイの楽しい日常はここから始まる。

【おしまい☆】


おまけ4:プロフィール3



1. ボス/フラフ
大型の三頭犬。攻撃は、ひっかき、とっしんなど原始的なものばかり。しかし、ユウキに一瞬で倒されてしまい、本編では、全く活躍できなかった。
ユウキは、ボス/フラフとの戦いで、昔ユイからもらった剣がユウキの心に反応し、強化魔法を発動した。そのため、この時のユウキの機力がレベル4からレベル6にアップする。しかし、剣は、魔力を使い果たしたため、消えてしまった。

2. ボス/シン
中型の人型魔神。光輝く実態であり、翼のようなものが生えていて、二本のツノのようなものがある。
機力レベル6のユウキですら、ボコボコにするほどの強力なボス。高速移動を得意とする武術を基本に戦う。また、遠距離攻撃として、炎魔法が使える。
しかし、ユウキが新たに開発した電磁砲攻撃で貫かれる。

##質問と回答

Q 不思議な老人は何故サボテンを選んだのか?
A サボテンは人の感情が分かるらしいと聞いたことがあります。この性質を利用したかったためではないでしょうか。

Q s3では、アリスとユウキは死んでしまうのか?世界憲法96条は消滅したのか。
A これについては、それぞれの読者さんの中に答えがあると考えています。私の導き出したい答えは書きましたが、それがすべてではありません。

Q その後、ユイの瞳の色は何色?
A 基本、黒色です。ユイは、あれから古代魔法も使えるようになったのですが、古代魔法を使うときは、瞳の色が青色に変化します。

Q s4はあるのか?
A ありますが、今のところ公開する予定はありません。s4は、ギャク要素が大きい日常系になってます。

Q 参考にした作品は?
A 恋愛要素については、CCさくらを参考にしました。よって、学年もCCさくらと同じになっています。あと、私の小説感覚は、私が今まで見てきたたくさんのアニメやハリーポッターという児童書の寄せ集め、集合でできています。すべてを一(いち)から自分で創りだしたという感覚ではないです。もちろん、話はすべてオリジナルのものですが、自然と出てくるアイディアやセリフが影響を受けた作品のものに似てるような気がするのです。