YUI -ユイ- シーズン4

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お話は、シーズンのような数ヶ月単位ではなく、ユイ達の数日の出来事を描いています。

photo-credit: syui


YUI -ユイ-




Music



OP(オープニング)
Soar feat. 初音ミク http://www.nicovideo.jp/watch/sm2700265

ED(エンディング)
長月遊戯 feat. 初音ミク http://www.nicovideo.jp/watch/sm21840949


s4:シーズン4



01:星を見下ろして
02:朝寝坊と遅刻
03:いつもの帰り道
04:考え事
05:神
06:最大の敗北
07:仲間
08:リーダー
09:修行
10:再びの敗北
11:アリスの決意
12:星の秘密
おまけ:質問と回答



s4:シーズン4





01:星を見下ろして



「ここか...最近、急激に人類レベルが上昇した星は...」

白色の髪をした一見して小さな男の子がつぶやいた。その星を見下ろして...。

場面が変わった。ここは、ユウジという人物の家の寝室だ。目を開き、天井を見上げるユイ。どうやら先程の光景は夢だったみたいだ。

ユイはよく予知夢を見ることがある。寝室の天井を見上げならが、ユイは、あの男の子と会うことになるのかもしれないなと考えていた。

学校にも空を飛べる生徒が数人居たが、数は少なかった。今度、学校に行ったら、その数人の顔を確かめてみようとユイは思った。

この世界は、魔法と科学、その両方が発展していて、各々が得意とする分野で社会に貢献していた。

また、子どもたちは学校に通い、色々なものを作ったり、勉強したりしながら、将来どのような形で社会に貢献するか考える時間を与えられた。

つまり、この世界は、以前の世界に比べて、とても平和で、そこに住む人々のレベルは非常に高いものだった。これは、ユイの創造魔法発動以降、人類レベルが上昇したといえるのではないだろうか。

もちろん、創造魔法発動直後の世界は、非常に厳しいものだったのだが、数カ月前に強制転送ルールという新世界のルールが変更されたことで、少しは悲劇が緩和された。

創造魔法発動直後に出来た強制転送ルールというのは、特別な思想を持ったものを特定し、特定された人々を強制的に、ある孤島に転送されるというものだった。

その孤島では、すべての自由が容認された。

これにより、一般世界とは別に、とてつもない悲劇が繰り返される悲惨な世界が出来上がった。

なぜなら、すべての自由が許されるというその孤島では、常に戦争や戦いが繰り返されていたからだ。

しかし、このルールは、数カ月前のユイ達の活躍により、現在は無効化されていた。

もちろん、このルールが適用されなくなって以降、犯罪や犯罪に巻き込まれる人は増えたような気がする。

しかし、ユイは、それでも自分の行動は正しかったと思っていた。

ユイは、こんなことを考えていると、また眠くなってきて、二度寝してしまった。

...Zzz


02:朝寝坊と遅刻



「ジリリリリリッ」

目を開けて、時計を見るユイ。完全に遅刻だった。

...。

「ガラッ」

教室のドアが開いた。

ユイが遅刻してきた。教室の自分の席に既に着席していたアリスとユウキは「そんなバカな」と思った。

先生が「ユイさん、遅刻ですよ」とユイに声をかけた。

「はい...」と言うユイ。

「では、席についてください」先生が言った。

ユイは、魔力が最高のレベル7だ。念じるだけですべての物質を分子レベルに分解できるし、結合できる。どんなものも思っただけで自由に動かせるし、浮かせられる。どうやらこれが世界を創造するために使われた基本能力らしい。

しかし、ユイは、なぜか歩いて学校に来ていた。ユイは、自分自身を何処へでも転送できる。これを瞬間移動というが、この瞬間移動を使えるはずなのに、とユウキは思った。

何はともあれ、やっと授業が終わり、放課後だ。帰りにアリスと話していて、ユイの話になった。

アリスの話によると、ユイはその力をなるべく知られていないらしい。どうやら、レベル7というのも本人のコンプレックスらしく、ユイはなるべく魔法を使わないようにしているというのがアリスの考えだった。

魔法は便利なのに、とユウキは思った。

ユウキは、機力はレベル6でとてもすごいのだが、魔力はレベル1だった。


03:いつもの帰り道



しかし、数日が過ぎて、いつの間にかユイが魔法を存分に使って学校に来るようになっていた。

というもの、ユイはいつも歩いて学校に来るのだが、その時に事故にあったらしい。そして、救急車で運ばれてしまったようだ。

実は、ユイは今まで、自分の能力で信号機を青に変えていたようだ。これは、他人に迷惑がかからないよう、不自然さを最小限に抑えた操作で、ほとんど無意識の下(もと)に行われていたらしい。

そのため、ユイは信号機を全く見ることはない。

よって、いつも、自分を遮るものは何もないかの如く、横断歩道を突っ切っていた。

そして、彼女の悲劇は、自分の能力にさらなる制限をかけ、レベル0の無能力状態で家を出たことから始まる。

彼女は、信号が赤にも関わらず、全く躊躇(ちゅうちょ)せずに堂々と飛び出したみたいだ。ここで、直進してきた自動車に跳ね飛ばされる。

ユイの怪我は、幸い即死ではなかったが、かなりの重症で救急車に運ばれた。いくらユイでも即死なら自己蘇生(そせい)は無理なのだろう。

したがって、不注意による赤信号飛び出し事故が、ユイの人生で最大のピンチだった。

結果として、本人はなんとか一命(いちめい)を取り留める(とりとめる)ことになる。

病院では、緊急手術とかで医者や救急隊員が慌てふためいていた。

そこで、あまりに周りが慌てふためいているのを煩わしく思ったユイは、レベル制限を解除し、一瞬で自己治癒を果たしたというわけだった。

しかし、周りがますます激しく慌てふためいたため、瞬間移動で家に帰って、それから学校に行かずに寝ることにしたらしい。

この話を聞いたユウキは、この一連のユイの行動については、ちょっと拗ねただけと考察していた。

そして、翌日からユイは堂々と瞬間移動で学校に来ていた。

ユイは悲劇の事故以来、信号が青であっても、横断歩道の手前で止まってしまう癖(くせ)が付いてしまったらしい。ユイの赤信号飛び出し事故は、本人の中では、相当なトラウマだったようだ。

ユウキは、帰り道で、「空を飛んでくれば?」と聞いてみたのだが、目立つから嫌らしい。しかし、レベル0のユイのほうがよっぽど目立ったのではないかとちょっと思った。

このようなこともあり、ユイのレベル0を目撃したのは、ユイを跳ね飛ばしてしまった悲劇の運転手及び、病院関係者しかいなかった。

ユウキは、この話をユイとしていると、いつの間にか一緒にいたアリスが吹き出しそうになっていた

しばらくユイとユウキ、二人でアリスを見ていると、アリスが笑いを抑えきれなくなり、大笑いした。

そして、アリスの大笑いを見て、二人も笑った。

人生最大のピンチを切り抜けたばかりのユイも、遅刻や交通事故が相まって、本人は、さっきまで落ち込んでいたみたいだけど、元気になってよかったとユウキは思った。

そうこうしているうちに、三人が別々に帰る分かれ道に到着した。

ここはちょうどパン屋の手前の開けた場所だった。パン屋の看板が学校の帰り道を照らしだす夕日で輝いていた。

いつも、ここまで来ると、三人は「バイバイ」を言って、自分の家に向かう道に入るのだった。

ユウキは、右の市街地への道へ。ユイは、左の丘へと続く道へ。アリスはそのまま真っすぐの住宅街への道へ。


04:考え事



ユイは、アリスとユウキにサヨナラを言って、左の通路へと入った。景色の先の方を見ると、ちょっとだけ盛り上がった丘へと続く曲がりくねった道が見えた。

ちょっとだけ、二人のことを考えていたが、次第に考え事は、前に見た夢のことに移っていった。空を飛んでいた白い男の子...。

学校には、3名の飛行魔法を使える子がいたが、夢に出てきた子は居なかった。

それに、夢に出てきた子は、この星のかなりの上空を飛行しているような感じだった。それだと、相当な魔力を使うことになる。

そこまで出来る子は、ユイが通っている桜小学校にはいなかった。

昔風の家に囲まれた細い道を抜けた後、田栄地帯が広がっている開けた場所に出た。夕日が沈みかけて、辺りが少し暗く、空では、星が輝いているのが見えた。

ユイは、結構きつい上り坂に差し掛かった。

しばらくすると、ユウジの家が見えてきた。ユウジの家は、丘の上に建てられていた。一見すると、大きな屋敷という感じの家だった。

入口の門をくぐり、ドア、といか大きな扉を開けるユイ。「ギイー」という軋(きし)む音がした。

帰ってきて早々、居間のソファに寝転ぶユイ。今日は楽しかったなーと思った。


05:神



白色の髪をした一見して小さな男の子が丘の上にある家を眺めている。

白い男の子は、入り口の門をくぐり、大きな扉をコンコンと叩いた。

ユイは、その時、本を読んでいたが、誰かが扉を叩いている音がしたような気がした。

こんな時間になんだろうと思ったが、無視することにした。気のせいかも知れないし...。

「コンコン、コンコン」

気のせいではないのがはっきりしたので、玄関に出ることにした。

玄関の扉を開けるユイ。

目の前には、夢で見た男の子が立っていた。

男の子がユイの腕をくぐり抜け、家に入ってきた。

その男の子は、居間に向かい、ソファに座る。この子は、明らかに夢で見た飛行少年だった。

その男の子は、かなりくつろいだ様子で、手をチョイチョイとした。私に向かいに座るように促しているようだ。

「私は、この銀河の調和を守る神だ」男の子が言った。

「私の役割は、星に住む生命を監視し、急激すぎる進化を調査すること。そして、自然の流れではなく、急激すぎる人類レベルの上昇が認められる時、場合によっては、ペナルティを課すことになっている」と男の子は続けた。

「あの...」ユイは口を挟む。

しかし、男の子は、人差し指を真上につきだし、目をつむった。静かにということなのだろうか。

さらに、話は続くようだ。「調査は既に終わっている。キミが立役者だったみたいだね。その点は、大いに評価すべきだと考える。しかし、急激な人類レベルの上昇は、その後の大きな下落、悲劇につながる確率が97.5%。よって、ペナルティとして、人類の半数を消すことにした」

「ちなみに、消される半数は、全てランダムに選ばれる。実行は10日後。以上」

ユイは一瞬だけ呆然としたが、すぐに立ち直った。

目の前の調和の神なる男の子には、大した魔力を全く感じなかった。ここは、力を使う時だとユイは思った。

しかし、魔法を使う前に、調和の神は目を開けて、こっちを見る。

「戦うのはいいですが、上でやりましょう。家が壊れてしまいますよ」と言った。

ユイは、この時、嫌な感じがした。もしかしたら目の前の神様とやらは、相手の心が読めるのだろうか...。


06:最大の敗北



二人は、玄関の扉を三度開いて、上空にスーッと飛行した。

月が青く輝いてた。下には、月明かりで青白くなった雲が漂っていた。

「私と戦うことで、あなたが不利になることも、有利になることもありませんので、遠慮(えんりょ)なく」と調和の神が言った。

どうやら、先ほど調和の神が言っていた消される人間の選別のことらしい。

ユイは、最初から全力で行くことにした。ユイの目が青く輝く。

それを見た調和の神は言った。

「ああ、彼の力ですね。あの落伍者には以前会ったことがあります」

「死ぬ直前だけは、少しマシになったのを感じましたが、所詮その程度の男だったということです」

ユイがキッなった。正直、彼のことを悪く言われると、怒りがこみ上げて来るのを感じた。

瞬時にユイは、調和の神の後ろに回っていた。瞬間移動だ。

攻撃を仕掛けるユイ。激しい雷が迸(ほとばし)る

しかし、相手は、ユイが瞬間移動する場所を予め分かっているようだった。目が合った。

にも関わらず、微動だにもしない。

「ドンッ」

全くダメージを受けていない。ユイはそう感じた。

ユイは、瞬時に相手との距離を大幅にとった。瞬間移動だ。

そして、古代魔法の炎を出す。

炎が相手を一瞬で囲んだ。

この魔法は、消費魔力が圧倒的に少なくてすみ、攻撃力もかなりのものだった。要は、相当使える攻撃魔法というわけだ。

仕組みとしては、炎が相手の生命反応を自動検知し、その一部のみ最大火力が発揮される。反対に、それ以外の大半の部分については、火力はとても低く、いわゆる見せかけのようなものだった。

しかし、調和の神は、明らかにダメージを全く受けていない。

ユイは、再度瞬間移動し、相手の前に現れた。

ゼロ距離の魔導砲を食らわせる。この魔導砲は、今現在ユイが使える最大級の攻撃魔法だった。

光が消え去ったが、調和の神は、まったく動かず涼しそうな顔をしている。

ここで、調和の神は、ユイの肩に触った。

「ドクンッ」

ユイは、大ダメージを受けて、よろけた。

「ぐっ」ユイは、そう言って、すかさず負のエネルギーを変換するときに使う機力を使った。




この時、初めて調和の神が大きく動いた。

具体的には、ユイが振りかぶったビームソードのようなものを、腕で大きく振り払った。

「ザンッ」と大きな音がした。

神様の腕にちょっとした傷がついたのが分かる。

「おしいですね。私を正確に捉えて攻撃するには、精神エネルギーが必要です。しかし、負のエネルギーは、近いところがあったみたいですね」調和の神が言った。

次の瞬間、ユイは、調和の神に手を掴まれた。

「ドクンッ」

グラッ...。目の前が歪む。ユイは、落ちていく。


07:仲間



地面スレスレのところで、ユイの落下速度が急激に落ちた。

調和の神は、10日後にしか人類に手を出さないらしい。地面に落ちたユイは、生きていた。

...。

ユイは目を開ける。いつの間にか朝になっていた。太陽の光がとても眩しく、青空を見上げている。

昨日の夜のことを少し思い出した。神様が突然やってきて、10日後に人類の半数を消すという。しかも、その力は本物だ。今まで見たこともない戦い方と能力だった。体には大きな傷はない。しかし、ユイは、相手に触れられた瞬間、精神が抜かれていくような虚脱感に襲われた。また、神様は私の瞬間移動の移動先を見ぬいた。なぜだろう。やはり、心が読めるのだろうか...。

ユイは、起き上がり、サッと魔法で汚れを落とした。擦り傷なども綺麗サッパリに消えていた。

パッと後ろ髪を流すユイ。

次の瞬間、ユイは、擦り傷と同じように、今まで立っていた場所から、綺麗サッパリに消えていた。

同時刻、ユイは、誰もいない学校の教室に瞬間移動していた。

まだ、朝が早く、誰も登校していなかった。ユイは、窓際の一番前の自分の席に歩いて移動した。

自分の席に座り、考える人のようなポーズで、物思いに耽(ふけ)った。

これからどうしよう。今の自分では絶対に勝てない相手。たぶん、数日修行してもまったくの無駄だろう。

でも、今まで自分と一緒に頑張ってくれた友達には、このことを話そうと決めた。

確かに、何を話そうが結末は変わらない。私が何をしても結末は変わらないのだ。

しかし、自分がもう一度、全力で戦って敗北したいように、彼らも何かをしたいかもしれない。

ユイは、友達に真実を話して、選択の余地を与えることにした。


08:リーダー



放課後、アリスの机の周りに集まって、ユイは、二人に昨日のことを話した。

話し終わった後、ユウキは、「どうせ死ぬなら、戦って死ぬ」と言った。

ユウキらしい、とユイは思った。

ユイは、神に逆らっても殺されないし、死ぬかどうかは、ランダムなんだけど...と思ったが、「私も全力で敗北するために戦う」と言った。

ユウキは、ポカンとしていたが、アリスは、納得できないというような表情をしていた。

確かに、よくよく考えて見れば、意味不明な言葉だったとユイは思った。

したがって、「無駄なことでも、やることはやったって思いたいから」と言った。

ユウキは、頷いてくれたが、アリスは、やはり先程と同じ表情だった。

「じゃあ、これからどうするの?」とアリスが聞いた。

ユイとユウキは二人して黙っていた。どうするのか思いつかなかったのだ。10日後に再び戦うだけじゃないかと考えていた。

すると、アリスは、「私は、3人で一緒に戦えば、何とかなるんじゃないかなと思ってる」と言った。

ユイとユウキは、再び黙ってしまった。相手は神であり、何とかなるとは思っていなかったからだった。

「あと、9日、一緒に戦う練習をすれば、勝てるんじゃないかな」とアリスは続けた。

どうやらアリスは、あくまで神と戦って勝つことが目的らしい。

しかし、これといった良い案がないので、3人で9日の修行をして、最後の決戦に臨むことになった。

「じゃあ、帰ろうか」とユウキが言った。

帰り道は、昨日とは一転し、誰も無言だった。ユイは、昨日はあんなに楽しかったのにな...と思った。

三人は黙ったままパン屋の手前まで来た。

分かれ道で三人は、お互いに目が合った。何かを言いたいのだけど、言葉が出てこない。

すると突然、アリスが「一緒に戦う上で、リーダーを決めたほうがいいと思うんだ」と言った。

そして、「ユイ、やってくれる?」と聞いてきた。

「えっ」とユイが言った。

「魔力が一番、強い人がリーダーだと思うんだ」とアリスが言った。

しかし、ユイは、人に認められるためには、能力や力も大切だが、もっと重要な事があると思った。

ユイは、全力を出して負けるために戦いに挑む。そして、ユウキは、どうせ死ぬなら戦って死ぬために戦いに挑む。しかし、アリスは、勝つために戦いに挑む。

この場合、ユイは、アリスがリーダーだと思った。最後まで希望を捨てない奴がリーダーなのだ。

「リーダーは、アリス。決まり」とユイは言った。

アリスは、色々とごちゃごちゃと言っていたが、結局、リーダーはアリスに決まった。

「言い出しっぺがリーダーなのですよ」、「じゃあ、私がリーダーやります。リーダー権限として、アリスにリーダーやってもらうことにします」が結構効いたらしい。


09:修行



修行中は、3人とも学校を休むことにした。

この点、次に学校に登校した時の先生の反応が恐ろしかった。

しかし、もっと恐ろしかったのは、生徒の半数が消えてしまっていることだろう。むしろ、激怒することが予想される先生が消えている可能性もある。

いや、自分もか...ユイはそんなことを考えていた。

一度目の神様との戦闘では、ユイが戦うが簡単に敗れてしまった。

神は、精神エネルギーによる攻撃しか効かないのだ。ユイは、負のエネルギーを変換するときの力を使って少しは対抗できたものの、完敗だった。神には、絶対に勝てないことを悟っていた。

3人は、短い修行を行う。それぞれがそれぞれに戦った。

ユイとアリスの戦闘で、アリスは、一瞬だけユイを超えるとてつもない力を発揮したように感じた。

しかし、一瞬だったので、ユイも気のせいだろうと思った。

ユイの力は常に一定でゆらぎがないが、アリスの力は自分と全く異なり、揺れ動きが激しかった。

しかも、先ほどの力が本物でも、神は勝てない...。

アリスは、未来予知の能力がある。しかし、神様はたぶん、相手の心が読める。よって、アリスが見た未来は、神様にも見えることになり、たぶん効かないと思ったからだ。

反対に、このメンバーで一番、健闘(けんとう)しそうなのは、ユウキだとユイは考えた。

ユウキは、戦闘センスや機力が素晴らしく強かった。

3人は、休憩時間に色々な話をした。

ユウキとアリスは、こんな状況にも関わらず、面白い人達だった。

全く落ち込んでいるようには見えなかったし、特に不安そうでもなかった。

ユイは、さすがに、アリスもユウキも死を受け入れただけのことはあるなと思うのだった。


10:再びの敗北



アリスによると、白色の髪の毛をして、白色の服を着ている、全体的に白い感じの男の子が、今日、ユイの家にやってくるらしい。

調和の神だ...とユイは思った。

ユイは、アリスとユウキ、二人を家に呼ぶことにした。

ユイは、あまり落ち着かなかった。家主が一人でソファに座って、本を読んでいるフリをしていた。しかし、本は逆向きだった。

アリスとユウキは、ユイの様子を不審に思っていた。本が逆だし、目が動いてない。

実は、アリスの予知能力も完全ではなかった。その理由は、アリスの予知は、未来は見えても、未来の一部しか見えないことだ。

未来の一部だけを切り取って、現在に持ってくるというのが、アリスの能力だ。

しかし、どのようなことであっても、一部分だけを見て、全体を把握することはかなり難しい。

また、解釈によっては、大きな勘違いもあり得るのだ。

例えば、ある人物が血を流れて倒れている映像を見たとしよう。しかし、これをその人物の死を見たと解釈するのは、間違いだ。

もしかしたら、その人物は、息をしているのかもしれないし、息をしていなかったとしても、その後息を吹き返す可能性もある。

逆に、未来を見て間違った解釈をしてしまうことで、未来が変わってしまう事もありえるのだ。

もちろん、未来を変えることは場合によってはかなり難しいことだった。この点、直近の未来を変えることはほとんど不可能といってもいい。

反対に、遠い未来は、よく変化することがある。ユイは、この点を既に実感していた。

ユイは、予知能力はアリスよりは劣っているものの、多少の予知能力があった。

具体的に言うと、同じ時間、同じ場所の未来を3回ほど見たことがあったのだが、どれも微妙に状況が異なっていた。

というわけで、アリスは、もうすぐやってくるであろう白い男の子が、実は神様だということを知らなかったのだ。

考え事はもういいので、本を読もう。うん、そうしよう、とユイは考えた。

あ、本が反対だ...。

本をひっくり返して、集中しようとした次の瞬間、「コンコン」玄関の扉を叩く音がした。

神様がやってきた。しかし、ユイは、本に集中しようとしていたところなので、出たくなかった。もう一瞬だけ本に集中できたら出ることにしよう。

「コンコン、コンコン」

見かねたアリスが出ることにしたようだ。「はーい!」とアリスは言った。

玄関に向かうアリス。しばらくすると、アリスが神様を連れて居間にやってきた。

「あなた方と戦うことは予見されていました。では、行きましょうか」神様は言った。

「ああ、こちら、神様、調和の神様です」ユイは紹介する。

「えーっ!」アリスとユウキがリンクした。

調和の神は、再度玄関に向かい、上空に飛んでいった。

ユイも神様に続こうとしたが、飛行直前にユウキに手を引っ張られた。

「んっ?」ユイは、初めてユウキが手を握ってくれたので、少し赤くなってそう言った。

「俺達は飛べない...」とユウキがつぶやいた。その傍らで、アリスも激しく頷いていた。

「...」

「...」

ユイは、瞬間移動で上空で待っている調和の神の前に現れた。

そして、神様に事情を話すことにした。

「仲間が飛べないことがたった今判明しました。どうしましょう」とユイは聞いた。

そして、短い会話が交わされ、神様はユイの家の裏山で最後の戦いを行うことを決断されたようだった。

調和の神様、意外とどんくさいなと、ユイは思った。

9日間も一緒に修行していて気付かなかったユイは、自分のことを棚に上げてそう思うのだった。

しばらくして、裏山で戦闘が開始された。

戦闘が開始される前、神様は、この戦いでは誰も殺さない。消される人類の半分は、あくまでランダムで決められる。そして、これは絶対だと言った。

ユイとユウキは、神を囲むように一気に攻撃を仕掛けた。



神様は手を広げる。ユイとユウキの足元に、何かを感じる。地面から何かが湧き出ている感じだ。

次の瞬間...。

「ドクンッ」

一撃で二人は地面に倒れてしまった。ユウキの手からビー玉のようなものが転がり落ちる。

起き上がろうとしても、力が出ない...。一瞬で二人は敗北してしまった。


11:アリスの決意



「ああ、言っていなかったが、私は、この星の地面を通して、エネルギーを操れるのだ。よって、地上戦のほうが私に有利なのだ」と神様は言った。

アリスは、予知能力を使って、相手の出方を伺った。どうやら、私が突進していったら、神様は私の後ろに回るらしい。そこに攻撃のチャンスがある。

アリスは、神様に突進した。

しかし、私が突進しても神様は微動だにしなかった。なぜ...とアリスはそう思った。

「ドンッ」馬鹿正直に突っ込んで、正面から魔導波を喰らうアリス。

「ズザザッ」アリスは、地面にたたきつけられた。

未来が違っていた。こんなこと、今まで一度もなかったのに...アリスはそう思った。

しかし、迷っている場合ではない、アリスは、今までと同じように予知能力を使って、それに基づいて攻撃を仕掛ける。

やったこと全部がダメだった。全くの無駄だった。

相変わらず、私が見た未来とは違う事が起こり、アリスは、蹴散らされてしまう。

「キミなら、もう少し私を楽しませてくれると思ったのだが、期待はずれだったようだ。一撃を私に食らわせるところを夢で見たと思ったのだが」調和の神は言った。

しかし、アリスは最後まで頑張っていた。リーダーに選ばれたこともあるのかもしれない。

「お前も他のものと同じように、勝てないことは分かっているのだろう。単に頑張ったという思い出がほしいだけなのだ」と調和の神は言う。

しかし、アリスは、「...ち、ちがう...」と立ち上がりながら言った。

そして、「私は...勝つ!!」そう言い放ったのだった。


12:星の秘密



予知能力を発動するアリス。

調和の神様が私に向かって最後の攻撃を仕掛けてくるのが見える。

アリスは、初めて、未来で見た景色とは異なった行動をとることに決めた。いや、予見とは違う行動を取り続ける!!

裁きの神は、相手の心を読んで、アリスが見た未来を把握する。そして、これまでと同じように、アリスの未来の上をいく攻撃を仕掛けた。

次の瞬間、アリスは、調和の神にもたれかかるような体勢になっていた。

「ぐ、ぐふっ」

神はダメージを受けていた。それも、信じられないほどのダメージだ。それは、あと2回同じ攻撃を受ければ、消滅してしまうほどのダメージだった。

一体、何が起こったというのだ...。これは、この星の精神エネルギーを使った攻撃だ。今の人類でこのエネルギーの存在を知っているものや、それを使えるものが居るはずがない...。

ユイは、修行中にアリスが出した一瞬のとんでもないエネルギーをさっき感じたような気がした。しかし、今は消えている。

次の瞬間、神は消えて、アリスの後ろに姿を現す。

しかし、アリスは、神の攻撃を防いだ。それも、攻撃された場所だけに防御をはっている。

少しでも防御範囲を広げたら防ぐことは不可能な攻撃だった。

そ、そんなバカな、いや、考えている場合ではない。神にとっては、動揺していること自体がとても危険な予兆だった。

まずいとも思ったが、アリスは攻撃を仕掛けてこなかった。

神は、ヒョイッと高く飛び上がり、アリスとの距離をとった。そして、相手の心を読む。アリスが再度未来を見ているのが分かる。

神は、今まで通り、アリスが見た未来の上をいく攻撃を仕掛けることにした。

アリスは、一瞬だけ出せる瞬間的なエネルギーを的確に使っていた。このエネルギーは、未来を知ってもなお、それと反対の行動をし続けることで生まれるエネルギーだった。

しかし、この力は、カウンター式でしか使えなかった。

神様が目の前に現れて、すぐに右へと移動しようとする。

「パッ」その時、アリスは、神様の手を握っていた。

神はハッとした顔をした。

次の瞬間...。

グラッ...。神は、またもやとてつもないダメージを受けていた。

後一度攻撃を受ければ、やられる...と神は思った。

そして、調和の神は、消滅リスクを負ってまで、この星の調和を実現する必要性は低いと判断した。

しかし、もう一度、未来を見る。すると、自分が空中に浮かんでいるのが見えた。それに、遠距離から地面を使った精神エネルギー攻撃を仕掛けている。確かに、これなら、相手は、私に触れることは出来ない。

いや、念の為に、最大予知を発動しておく。最大予知なら一瞬の映像ではなく、数十秒の未来映像を見ることが出来る。

アリスが瞬間移動して、私の前に移動する。どうやら、ユイが残った力を振り絞ってアリスを私の前に移動させたようだ。

しかし、私はそれを察知し、アリスに魔導波を放つ。アリスは、落ちていく。

勝ったと、神は思った。

すぐさま空中に飛び上がる神。

神様が手を広げると、ユイとユウキを襲った謎のエネルギーが地面から吹き出すのを感じた。

そのエネルギーがアリスを囲む。しかし、アリスは、空を見ていた。




「バチッ」アリスは一瞬、地面から吹き出すエネルギーを食らったかのように見えた。

しかし、アリスは、その場から消え、空中にいる神様の前に姿を現れた。

「魔導波!!」神は魔導波を放つ。

アリスは、それを避けた。

そ、そんなバカな...。

アリスの手のひらが、神様の胸に触れる。

次の瞬間、すごい光が解き放たれた。

そして、神様は消えていた。仰向けに落ちていくアリス。

しかし、地面に触れるか触れない辺りで急にアリスの落下速度がゼロになり、その数秒後、地面に着地した。

「か、勝った...!!」アリスそう言って、既にうっすらと辺りが暗くなり、青白い月が出ている空を見上げて、寝転んだ。

そして、3人とも、そのまま眠ってしまった。

...。

次の日の朝、3人は、ユイの家で朝食を食べて、一緒に登校することにした。

三人が無事なのは、単にハズレを引かなかっただけなのか、人類の半数が消されること自体がなくなったのか分からなかった。

したがって、学校に到着した時が不安だった。

しかし、教室には誰も消えている人は居なかった。

そして、その日の放課後、三人は、先生に呼び出され、9日も無断で休んでいたことを怒られた。

三人は、怒られている最中も、何故かニコニコしているのだった。

【つづく】


質問と回答



Q s4のポイントは
A ギャグ要素を追加してみました。これによりカオスが多少緩和されることを願います。
しかし、これ、笑える所あるのでしょうか。自分のツボは、意味不明系のギャグなので、他の人が面白いかまでは、わかりません。

Q s4のテーマは
A 予知夢や予知能力、未来についての個人的な考えを伝えることです。私は、未来は変化するものだと考えています。ただし、直近の未来が変化することはあまりありません。これは、変化に必要な時間が足りないことが多いからだと思っています。

Q s4の続きについて
A この星が保有する重力とは別のエネルギーについて、その秘密が明らかになります。
もちろん、あくまで個人的な妄想です。星というものは、色々なものをつなぎとめています。例えば、生命の体です。重力により、生命の体は、星の外に出ることは出来ません。それと同じように、生まれ変わりに必要な生命の精神も、何らかのエネルギーによりこの星につなぎとめられているのかなと考えています。 こちらの記事を読んでもらえれば、多少の参考になるかもしれません。
ただし、続きを書くかどうかは全くの未定です。

Q s4のイラストについて
A 適当ですよね。分かります。上手く塗れないので、あまり面白くないです。うまく塗れると面白くなってくるのでしょうか。しかし、面白くないことに、時間をかけるのが嫌いなので、難しいです。やはり、最初は面白くなくても、少し辛抱してやらないととは思いますが...。

Q YUI-ユイ-の作成秘話
A 作成中には、多少の進行状況と悩みを こちらにつぶやくかもしれません。もし興味のある方がいましたら、...。