YUI -ユイ- シーズン5

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ラノベ、書いてみました。

photo-credit: syui


YUI -ユイ-



s5:シーズン5


01:ある日のある場面
02:中間テスト
03:期末テスト
04:ユイの憂鬱(ゆううつ)
05:ユウキの準備
06:初デート
07:心の迷路
08:デート2
09:デート3
10:一人の戦い
11:二人のピンチ
12:無意味な試み
sp:テツロウの物語
FAQ



s5:シーズン5






01:ある日のある場面



ある日、ユイは、一人の男の子と退峙(たいじ)していた。

ここは、夜の学校の運動場。

月明かりが二人を照らす。そして、遥か上空にある薄い雲が空に浮かぶ月にかかった。

月の光が一気に空に広がり、月に2重の輪が出来た。


02:中間テスト



この場面に至るまで学校に貼りだされた用紙が思い出される。

ある日、学校で定期的に貼りだされる用紙が貼りだされていた。そして、そこに人だかりができている。

貼りだされている用紙は、中間テストの点数だった。

学年上位の5位までが表示されていた。

「あ、ユウキが3位に表示されている」とユイは思った。

しかし、今回は、いつもと違うことがひとつだけあった。知らない名前が表示されていたのだ。

「五十嵐 哲郎 (いがらし てつろう)?」とユイはつぶやいた。誰だろう。

実は、いつも学年上位に表示される名前は決まっていた。多少の順位が変動することはあるけれど、知らない名前が出てくることは一度もなかったのだ。この用紙には、いつも知った名前が表示されるばかりだ。

このような順位表は、中間テスト、期末テスト、最終登校日に貼りだされる用紙だ。

この世界のテストは、ほとんどが論文形式で出題され、(1)覚えている知識、(2)その知識を使った論文を書くようになっていた。

また、筆記試験だけでなく、実地試験の割合もかなり多かった。

そして、この実地試験では、各々の魔力が試される場が用意された。

ユイは、いつもクラスで真ん中の順位を維持していた。実地試験では、最高得点を採れることは分かっていたのだけど、魔力を抑えて試験を受けていた。

「普通」というものに憧れていたのかもしれない。

ユウキは、結構優秀で、3-5位の順位を頻繁に採っている。ごく稀に、1位になったこともあった。

次の日、中間テストの結果が学年5位になった五十嵐 哲郎 (いがらし てつろう)くんの話題になっていた。

このテツロウという人物は、ここ最近、急激に魔力を高め、学年1位にも匹敵するレベルだと噂になっている。

今回、実地試験を見ていた学生が証言していた。

しかし、中間テストの点数は、総合点で評価される。具体的には、記筆試験、実地試験の組み合わせだ。

したがって、いくら魔力が学年1位でも、中間テストの総合点が学年1位となるには、もしかしたら難しいのかもしれない、とユイは思った。


03:期末テスト



しばらくして、期末テストが終わった。

翌日、いつもの様にテスト結果が貼りだされた。

例のテツロウは、学年1位になっていた。

一体どんな努力をしたのだろう、ユイはふと思った。「ズキッ」と何故か胸が傷んだような気がした。

その日の帰り、下駄箱(げたばこ)に手紙のようなものが入っていた。

なんだろうこれ、ユイはそう思った。ちょっと変な期待をして、手紙を開いたが、例の学年1位の子に呼び出される内容だった。

ユイは、夜中、呼び出された時間に学校の校門の前に来ていた。

運動場に誰か居る。彼だろうか。そこに向かう。

ユイは、一人の男の子と対峙していた。

男の子は、私を呼び出したテツロウだった。

月明かりが二人を照らす。そして、遥か上空にある薄い雲が空に浮かぶ月にかかった。

月の光が一気に空に広がり、月に2重の輪が出来た。

彼の要件は、分かっていた。空間防御を張り巡らせるユイ。

この空間防御の魔法は、自分と相手の周りにバリアを貼り、魔法を無力化するものだった。これで学校や建物が壊れることはない。

彼は、なにか身振り手振りで何かを訴え、叫んでいる。しかし、ユイはそれを聞いていなかった。

彼には、一言だけ言うことがあった。

「あなたは、私に勝てない...」

「あなたは、自分の中に魔力があると思っている。でも、違う...私達はそれを呼び出すことができるだけ。」とユイは言った。

しかし、彼が止まらないことはユイも分かっていた...。


04:ユイの憂鬱



テツロウは、圧倒的な電撃で攻撃してきた。雷が無数に彼の周りに纏(まと)い、そして、落ちる。

「バチッバチッバチッ!!!」

電撃がユイに向けられたが、ユイは、小さなバリアを作った。

ユイの周りは、電撃が通らず、電撃は、ユイの横を横切った。

その後もテツロウは、ユイに攻撃を加え続けたが、ことごとく無力化された。

テツロウは、息を切らし、地面に手を付けた。

ユイは、「私はもう行く...」と言い、クルッと背を向け、消えた。瞬間移動だ。

ここは、ユイの家、寝室だった。ユイは、瞬間移動で自宅に帰っていた。

ユイは、腕を頭に乗せて、ベッドにドサッと倒れこんだ。

ユイは、彼には私が言いたいことが、伝わったかなと考えていた。

彼のように、急激に魔力を伸ばした人をユイは数多く見てきた。

しかし、そのほとんどが、後に魔力が元に戻るか、最悪、全くゼロになってしまうことが多かった。

実は、この世界の魔法という力は、ゲームで言う魔法とはその根源が全く異なっていた。

ゲームで言う魔法は、キャラクターにその根源があるのだが、この世界の魔法は、自分の外にある魔法を呼び出すという形式で発動するのだった。

これは、むしろゲームで言うところの召喚魔法に近いかもしれない。この事実を把握している人間は多くはなかったし、学校の先生すら把握していなかった。

ユイは、魔力の元を深く追跡したことがあり、この事実に気づいたのだった。

ここで、ユイは、急激な魔力の下落には、個人が自分の力だと勘違いしてしまうことで引き起こされるような気がしていた。

いや、厳密に言うとこれは正確ではない。

急激に上昇した魔力は、必ず急激に下落するようだった。

この急激に下落した時、本人が勘違いしたままか、勘違いしていないかで、その後の能力に大きな変化が生じているようだった。

テツロウの魔力は急激に上昇したので、下落することはほぼ確実だった。

しかし、魔力が下落したとき、テツロウがどういった行動をとるか、それを心配していた。

ユイは、もしかしたら、ちゃんと伝わっていないのかもしれないな、と思ったが、最近のユイの感情は、他のことで激しく揺れ動いていたため、テツロウのことばかりを気にしている場合ではなかった。

自分ができることはやった、と思い直し、ユイは、「他のこと」を考えることにした。


05:ユウキの準備



ユウキは、アリスと付き合っていた。このお付き合いというのは、いわゆる「俺と恋人の契約を結べ!!」というやつだ。

アリスと付き合いだしたのは、ユウキが6年生になった夏休み明けだった。

ユウキは、夏休み明け、登校初日に学校の校門で、あの日の告白をやり直したのだ。

ユウキは、夏休み前に告白しようかなと思ったのだが、あえて休み明けの憂鬱な登校日に告白することを決めたのだった。

どうやら、ユウキは、あえて自ら逆境に突っ込む性格らしい。通常は、休み前のほうが、相手の気持も浮ついていて告白の成功率が高そうだと思うのだが...。

そして、明日は土曜日でアリスとの初デートの日だった。

ここで、ユウキは明日の準備をし始めた。

ユウキが初デートのために用意したのは、恋愛ルールというものだけだった。

恋愛ルールができたきっかけは、アリスと付き合っていく上で、なんか参考になるものないかとインターネットをやっている時だった。

インターネットでは、ありとあらゆる恋愛情報なるものがあふれていた。ちなみに、ユウキは、ダンジョン情報サイトの管理人をやっていたこともあり、調べ物はインターネットを使うことが多かったのだ。

インターネットに掲載されている恋愛情報は、そのほとんどが、相手に求める最低条件なるもので満たされていた。

最低限〇〇でないとダメとか、そんなのだ。この最低条件なるものが、数十項目、数百項目ずらっと並んでいた。

ユウキは、これを見た時、「なんだこれ?」と思った。

そもそも恋愛というのは、相手に要求ばかりするものではないだろうと考えたからだ。

このようなこともあり、これと真逆の事をやろうと考え、ユウキ流、恋愛ルールが作られるのだった。

ユウキ流の恋愛ルールで重要なのはただ一つだった。

「相手に与えることだけを考えて、決して受け取らない」というものだ。そして、前文にこの文言が書かれた。

その後、ユウキは、事細かいルールをノートに書き始めた。意外とマメな性格らしい。

しかし、相手が何を求めているかが分からなければ、このルールは意味が無いものだった。

よって、ユウキは、相手が何を求めているのか知る術がなかったので、「読心術」を学ぶことにした。

まずは、読心術についてインターネットで検索した。読心術というのは、その時の相手の気分や心の声を読み取ることができるものらしい。

そして、泥縄式のトレーニングを少し行った。相手と目を合わせることがポイントらしい。

「これくらいでいいか」ユウキはそう言って、ベッドに寝転んだ。


06:初デート



初デートと言っても、ユウキは、アリスの家に行くだけだった。

正直、この約束を交わすまでの会話はよく覚えていなかった。いつの間にか今日、アリスの家に遊びに行くことになっていたのだ。

ユウキは、考え事をしながら、いつも3人が別れるパン屋の前まで来た。

しかし、ユウキがアリスと付き合ってからというもの、ユイの態度がよそよそしい気がしていた。最近は、帰り道もユイとは一緒ではなかった。なぜか、ユイは一人で帰ってしまうのだ。いろいろ忙しいのかな、とユウキは考えた。

アリスの家は、ユウキが来た道から右の通路に入っていくところにあった。

開けたパン屋がある場所から、右の通路に入っていくユウキ。

周りを見渡すと、たくさんの家やマンション、公園が並んでいた。ここは住宅街で、とても静かな場所だった。

アリスの家の前に辿り着いた。アリスの家は、普通の一軒家という感じだったが、結構古い感じの木造だった。とても小さく、2階建てではなく、一階建てだ。

この国では、使われなくなった家を困った人に無料で譲渡する制度があって、学校の何人かの生徒も家を持っている子が何人かいた。そして、アリスもその中の一人だった。

「ピンポーン!」

呼び鈴を鳴らすユウキ。次の瞬間、しまった!と思った。もう少し緊張してから鳴らすべきだったかもしれないと思ったからだ。

しかし、アリスの家でやることは決まっている。

具体的には、相手の目を見て、アリスが何を求めているのか見抜くこと。次に、アリスが自分にしてほしいことをしてあげること、それだけだ。

アリスが玄関の扉を開けた。ちょっと顔が赤いような気がする。

「反応予測!!」とユウキが突然言った。

「えっ?」アリスが不思議そうにつぶやく。

「えっ!ああ、思ってたこと声に出してた?いや、こっちの話だから」とユウキが言った。

しかし、アリスは、"ふふふ"と微笑んだだけだった。

自分もだいぶ、混乱しているみたいだ。しかも、やるべきことは、反応予測じゃない。とりあえず、目を合わせないと、とユウキは思った。

じっとアリスの目を見つめるユウキ。アリスは、驚いたような、困ったような表情をしている。

その時、「ドクンッ」という音がして、何かが起こった。なぜか、過去に神と戦った時のような感じがした。

そして、アリスの感情が自分の中に流れ込んでくるような気がした。


07:心の迷路



何が起こったのかはよく分からなかったが、状況は理解できた。

目の前の女の子は、自分が知っているアリスではないように感じた。

アリスは、ユウキに優しくされたい、抱きしめられたいと考えているということがわかった。

更に、ちょっとH(えっち)なことも考えていた。

今までユウキは、アリスは、子供っぽくて天然な子という印象があったが、実は、ユウキが想像もしないようなことを考えていて、かなり大人だった。

今までユウキは、人の心は「Yes」か「No」で割り切れる簡単なものだと思っていた。

しかし、実際は、複雑で、まさか心を読めたとしても、考察が必要になるとは思っていなかった。

とりあえず、ユウキは、考える時間を得るため、アリスを抱きしてめて、優しくしてあげることにした。

突然、アリスを抱きしめるユウキ。「ギュッ」

こちらからはアリスの顔が見えないけど、なんかちょっと震えている気がする。

なんか間違えたかなと思ったけど、「アリスのことが大好き」とユウキはアリスを抱きしめながらそう言った。

アリスはまだ震えてる。

そこで、ユウキは、アリスの頭を撫でてあげることにした。

すると、アリスの震えが止まり、静かになってく気がした。

しばらくそうした後、ユウキは、「アリスの部屋に行こうか」と言った。

アリスは静かに頷いたが、俯(うつむ)いていたため表情が分からなかった。

アリスが自分の部屋に案内する。

ユウキは、その間、考える時間があった。

アリスがユウキを部屋に呼んだのは、ユウキにならH(えっち)なことをされてもいいと考えていたからだった。

ユウキは、そういうことを全く考えていなかったので、真剣にびっくりした。

しかし、アリスは、本音として、ちょっとHなことをされたいとは望んでいないのかもしれない。

アリスは、ユウキに求められている感がほしいのだと思う。

したがって、ちょっとHなことは本当はされたくないけど、ユウキに求められるなら、それでもいいかなと考えているのではないだろうか。

なぜアリスがこういう思考をするのかというと、どうやら、根幹には、「欲しいものを手に入れるには、何かの犠牲が必要」という考えがあるらしかった。女の子は、みんなこうなのかな、とユウキはふとそう思った。

この場合、ユウキはどうすればいいのだろうか。

とりあえず、今日は、アリスと色々な会話をすることにしたのだった。

そして、帰り際にアリスをもう一度抱きしめてあげた。

ユウキは、心のなかで相手が求めていることに応じるたびに、なぜか心が削られていく感じがした。

なぜだろう?アリスが喜んでくれると、自分も嬉しいはずなのに、なんでこんな気持なんだろうとユウキは思った。

玄関で靴を履き、帰ろうとしたユウキ。

しかし、アリスがギュッと服の袖を掴んでいた。

「ん?」とユウキが言った。

アリスは、「あ、明日も学校、お休みだね」と言った。

そして、「明日も私、暇なの...」と続ける。

ユウキは、次に遊ぶのは、一週間後がいいなと考えていたのだが、アリスは、自分と一緒にいたいらしい。

「それじゃあ、明日も一緒に遊ぼうか」とユウキは言った。

「うん!」と嬉しそうな顔をして、バイバイと言った。


08:デート2



次の日の日曜日、二人で買い物に出かけることにした。

手を繋いで一緒に歩き、色々なものを見て回った。

しかし、ユウキは、今までとは世界が全く変わって見えていた。

これは、アリスと付き合っていることとはあまり関係なく、なぜかある日を境(さかい)に、人の心が読めることが多くなっていたからだった。

店員さんや街を歩いている人の考えていることがわかる。時には、大きな環状が自分の中に流れ込んでくることもあった。

これは自分が調べた読心術とは全く違った。なんでだろう、もしかしたら、これは自分が新たな魔法に目覚めたということだろうか。

しかし、こんな魔法、今まで聞いたこともなかった。

ただし、ここ数日で感じていた自分の心が削られていく感覚は、大きくなっていた。


09:デート3



あれから数日、ユウキの様子は今までとは異なっていた。

ユウキもそれに気づいていたが、どうしようもなかった。

ユウキは、なぜか人の心が自動で読めるようになって、困っていた。

人の心が読めるというのは、自我をなくしていくことでもあるとユウキはそう感じていた。

このままでは、まずいとユウキは思っていたが、このよくわからない現象をコントロールする術(すべ)を全く思い浮かばなかった。

しかも、今日は、土曜日でアリスと3回目のデートだった。

今日は、アリスが家に来ることになっていた。

ユウキの家は、ユウキからすれば、とても変わった家だった。

家族がいて、とても暖かく、一般的な家庭だった。

両親も健在で、ユウキは、その両親の一人息子ということになっていた。

ユウキには、本当の両親はいなかったが、何故か自分を息子だと思い込んだ人と暮らし、とてもお世話になっていた。

もちろん、最初は納得できなかったが、最近では、とてもいい人たちだなと思うようになっていた。

「ピンポーン!」アリスが来た。急いで玄関に降り、アリスの手を握って、急いで二階の自分の部屋に駆け込んだ。

母親が玄関に向かう音を聞いたような気がした。

今日は、アリスのことを色々と褒めてあげた。アリスも嬉しそうだ。

ユウキは、チョイチョイと手招きして、ベッドの上でアリスを抱きしめた。

しばらくそうしていたが、アリスと目があった。

次の瞬間、ユウキは、自分が大海原で激流に流されているイメージが頭の中に流れた。

なんか、ヤバいとユウキは本能的にそう思った。ユウキは、急にこの場所から逃げ出したくなった。

アリスは、とても眠たそうな表情をして、「なんか熱くなってきちゃった...」と言いながら、上着を脱いでいる。

(どうしよう...アリスがいつものアリスじゃない...)、ユウキはそう思ったが、一体どうすればいいのか、頭が真っ白だった。

今まで座りながら抱き合っていたのに、今やアリスは、ユウキに馬乗りになって、"ぽわーん"という表情をこちらに向けていた。

ユウキは、次の瞬間、何も考えずにアリスを抱きしめていた。そして、アリスの頭をなでなでした。

どうやら、アリスは静かになってくれたようだ。ユウキは内心ホッとした。


10:一人の戦い



ユイは、「他のこと」を考えている。

具体的には、ユウキとアリスの事だった。数カ月前から二人が付き合っていることを知ってから、二人のそばにいるのがいたたまれなくなったのだ。

自分が邪魔者になった気がするし、自分のユウキへの気持ちもよく分からないしで、二人の友人達のことについて、ユイは、色々と思い悩んでいた。

いつの間にか、また一人になっちゃったな、ユイはそんなことを思った。

「コンコン」

玄関の扉を叩く音がした。

この気配、前に感じたことのある気配だった。

玄関に向かうユイ。明かりをつけ、扉を開く。

小さくて白い感じの男の子が立っていた。

「また、来るとは思っていました。神様。」、ユイはそう言った。

神様が家に入ってきた。居間に向かうようだ。神が進む通路には、勝手に明かりがついていった。

ソファに座る神。ユイは向かいに座った。

「これも分身ですね?」ユイは聞いた。

「よく気づきましたね」と神は言った。

「また、戦うのですか?」ユイは続けて聞いた。

「はい」と神は返事をする。

「いつまで戦うのですか?」さらにユイは聞いた。

「今から3日間です。私の分身が、この3日間のうちにまた敗れるようなことがあれば、あなた達の手にこの星の調和を委ねたい」と神は言った。

神は続ける。「その時は、この星の秘密を教えます」

「では、行きましょうか?」神が聞いた。

「えっ、また上空にですか?」ユイはちょっとだけ変に思った。そういえば、神は戦う前には、必ず一定の上空に上るのだった。

しかし、そんなことに意味があるはずない。ユイは、「分かりました」と言った。

その後の2日間は、悲惨だった。ユイは一人で限界まで戦ったが、何度戦っても負け続けた。


11:二人のピンチ



7回目の戦闘が始まった時、神は言った。「私の分身を破った子を連れてきてくれませんか?」

ユイは息を切らしていたが、何も返事をしなかった。

すると、「では、私から会いに行くとしましょう」神は言った。

神は、上空から地上に、まるで隕石のような猛スピードで降りていく。

ユイには、それを追いかける気力も、止める力も残されていなかった。

地上に突進していく神をただ見ていることしか出来なかったのだ。

しかし、一瞬だけ、神が魔法陣のようなものに包まれるのを見たような気がした。地上に近づくに連れ、何かのエネルギーが神に集まっているように感じた。

ユイは、瞬間移動で家に戻り、玄関に倒れこんだ。

ユウキとアリスなら、何とかしてくれる、そう思ったし、体力を回復させないと、ユイはもう動けなかった。

しばらくして、ユイは、モヤモヤしていた。あの後、二人は、どうなっただろうか。

殺されることはないと思う。

しかも、私が行っても、何も出来ないことは分かっているし、最近、二人とはギクシャクしているので、邪魔なだけだと思った。

ギクシャクしているといっても、自分が一方的に避けてるだけなのだが、二人はどう思ってるのだろう。

そして、今までのことを思い出した。

なんだか、涙が出てきた。

「やっぱり、行こう...」ユイは涙を拭って、立ち上がった。


12:無意味な試み



その時、ユウキは、神と戦っていた。

苦戦しているようだ。

「私の心を読もうとしているようですが、心を閉じることが出来なければ、私に対応することは出来ませんよ。あなたは、その力をコントロール出来ていない」神はユウキにそう言った。

アリスは、戦わず、心配そうに見ているだけだった。どうやら、ユウキは、アリスが傷つくのがみていられないため、一人で戦うことにしたようだった。手をアリスの前に出して、ストップをかけている。

しかし、その弱点を逃す神ではなかった。アリスを狙った攻撃に、ユウキは同様し、アリスのところに駆けつけようとする。

ユウキが攻撃に当たり、アリスの前で倒れた。アリスもユウキに駆け寄ったが、そこに地面からエネルギー派が噴出した。

ユイは、二人のもとに向かうまでに1つだけ試したいことがあった。

上空に上昇するユイ。

「ギューン....」

そして、一定の高さまで来ると、星を見下ろした。

「とても、綺麗だ...そして、エネルギーに満ちてる...」ユイはつぶやいた。

神の分身は、この力を使っていたに違いない。前は見えなかったものが、今は見える。

重力とは違う力で、光で、この星は輝いていた。そして、それは、地上に近づくほど強くなっているようだ。

すー、と息を吸って、間をおいた後、一気に地上に向かうユイ。

何かのエネルギーがユイに集中するのを感じる。

「キィィィーン...」

地上が見える。ユウキとアリスが地上に横たわっていた。

間に合わなかった、ユイはそう思った。

地上に降り立つユイ。

精神エネルギーが集まって具現化し、翼のような形になっていた。




神がこちらを見る。

「ようやく気づいたようですね...」と神が言った。

神の分身は今までこの方法でエネルギーを集めていたようだ。考えても見れば、大きなエネルギーを持った分身を遠く宇宙から操るのは、非常に困難なことだと思う。だから、分身は、今までこの星のエネルギーを使っていたのだ。

激しい激闘が繰り広げられる。お互い触れられたら終わりだ。

ユイが触れられそうになったが、翼でガードした。翼は、精神エネルギーで出来ていたため、ユイにダメージはなかった。

ユイとの距離を瞬時にとる神。地面に手を付ける。

すると、地面がひび割れ、大きな衝撃波が、ユイに向かった。

ユイも両手を前に出し、エネルギー波を創りだした。次第に、翼が小さくなっていく。

エネルギーはユイの手のひらに集まっていくようだった。

次の瞬間、ユイの両手から閃光が走った。

「ガガッ!」

「ドーン!!」

両方の衝撃波が激突した。

...どうやら、ユイが押されているようだ。

...このままではまずい。押された衝撃波は既にユイの近くまで来ていた。

すると、ユイの背後に、人影が見えた。

その人影は、テツロウだった。

テツロウが、気を爆発させる時のポーズになり、電撃が迸(ほとばし)る。

電撃は、地面を割り、神の方へ向かっていった。

更に、ユイが放ったエネルギー波に纏(まと)わり付いて、威力が大きくなったような気がする。

一瞬の出来事だった。神は、電撃が纏(まと)わり付いた白いエネルギー波に貫かれて消えていった。

ユイが振り向いたが、そこには誰もいなかった。

テツロウは、既に行ってしまった後だった。人影が、さっと茂(しげ)みの間に消えていったのを見たような気がした。

ユイが二人の友人と仲直りしたのは、その日の夜だった。

同時に、再び神の分身が自分の家を訪問し、星の秘密を話したのも、その日の夜だった。

【つづく】


sp:テツロウの物語



...準備中

【つづく】


FAQ



Q s5のテーマは何?
A s5のテーマは、人の心です。複雑だということと、時に矛盾することを考えていたりするかもしれないということです。

Q s5のポイントは?
A s5では、感情表現に力を入れたつもりです。また、ちょっとだけアレな要素も入れてます。また、意味のないようなバカみたいな行動にも、実は意味があったりすることがあります。そういうのを伝えたかったです。